ニート・フリーター、無職からの正社員体験者 REAL VOICE 体験者のインタビュー

一歩踏み出すことで世界は変わる

大学卒業後、正社員として就職をしても、やりがいを見出せずに退職する人は少なくありません。


その大きな要因として、職場の人間関係や日々の業務は実際に働き始めるまで把握できず、理想と現実のギャップを感じてしまうことが挙げられます。また、こうした過去の経験から、新たなキャリアへの一歩を踏み出せない若者が増えています。


そんな若者の就職を支援するのが、東京しごとセンターの「若者正社員チャレンジ事業」です。この事業は、29歳以下の若者に向けて、企業での実習体験を通じて新しい職種にチャレンジできる機会を提供しています。5~20日間の企業内実習を通して実際の職場環境や業務内容を体験できるため、入社後の不安や戸惑いを軽減できます。


今回は、人材育成に熱心な企業での実習を経て、医療事務からITエンジニアへと転身を果たしたMさんに、27歳でのキャリアチェンジについて話を伺いました。

実習体験者 Mさん
実習体験者 Mさん (実習参加時 27歳) 大学卒業後、就職せずに学生時代のバイトをそのまま続ける生活。居酒屋で働きながら医療事務のスクールに通う。1年後、正社員として大学病院に就職。医療事務の仕事を2社で2年ずつ勤めて退社。
〝リフレッシュ期間〟中にYouTubeで若者正社員チャレンジ事業を知り登録。今の会社にエンジニアとして27歳で再就職し、再び正社員に。現在は人事部に所属。
企業担当者 吹田さん
企業担当者 吹田さん システム開発をはじめ、教育事業、クリエイティブ事業と多岐にわたる事業を展開、若手人材の登用にも積極的で、7年前から若者正社員チャレンジ事業に参加。
「やる気のある若者がたくさんいることを知った。ぜひ、チャンスを与えたい」と話す。
今、全従業員の6割程度が当事業出身者、定着率も高い。

Mさん(27歳)が実習を通して掴んだITエンジニアへの道

就職が遅れた理由は?
大学を卒業した時は、就職する意思がなかったので、バイトをたくさんして遊んでました(笑)。就職にあまり魅力を感じなかったんです。給料も居酒屋のバイトの方がよかったですし。
一方で医療事務に興味があったので、バイトを続けながら医療事務のスクールに通って、就職もしました。でも、数年で辞めてしまいました。この先も医療事務の仕事を続けることに、気持ちが不安定になってしまったんです。
なぜ、この事業に応募を?
若者正社員チャレンジは、YouTubeの広告で知りました。ああ、こういう事業があるんだと思って調べてみて、応募して。当時はそれほど正社員にこだわっていたわけではないのですが、この事業では20日間の実習期間があるので、そこで企業のことを知ることができますよね、それが一番の魅力かなと思いました。
あと、実習後に助成金がもらえるというのも助かりましたね。
未経験のIT企業を志した理由は?
医療事務をやりながら、こういう事務のような仕事は、今後AIなどの技術が進んでいったらどんどんなくなっていくんだろうなと、同僚とも話していたんです。それでITに興味をもって、独学でプログラミングを学び始めていました。
今の会社に実習に来るときは、初めてのIT業界という不安よりも、むしろわくわくドキドキしていた記憶があります。
実際経験してみると、本当にゼロベースでも大丈夫なように、研修やバックアップ体制がしっかりしているので、自分でもやっていけそうだなと思いました。
職場の環境はいかがですか?
実習の時も、一緒にお昼を食べたり、3時にお茶の時間があったり、いろいろな方にお話を聞くことができました。実際に入ってみたら実習の雰囲気そのまんまで、未経験でも丁寧に寄り添ってくれるし、お互いの考え方をちゃんと伝えながらコミュニケーションがとれるし、前の職場と違って、こんなに話しながら仕事して大丈夫なんだ、というのが驚きでした(笑)。プライベートでもお酒を飲みに行ったりしますし、カードゲームや映画などサークルもいろいろあります。
実は昨年出産しまして、1年間の育児休暇から復帰したばかりなのですが、子供が熱を出して突発でお休みをいただいた時も「無理しないで」という言葉だけで気が楽になりますね。周囲のサポートにはもう感謝しかないです。
今の仕事を6年間続けている要因は?
やっぱり人ですね。医療事務のときに転職も経験していて、そこは人が合わなくて辞めてしまったのですが、人はやっぱり大切。どこに行っても〝やりたくない〟と思う仕事が、ひとつぐらいは必ずあると思うのですが、人に恵まれれば、話し合いながら解決していける。どんな仕事も人次第でこなせるのかなと。
この会社に来る時も、実習期間中にプログラミングを学びながら、営業や本社勤務の人などいろいろな方と交流できました。それもあって、ここだったら大丈夫、やっていけそうだって思ったんですよね。
これから参加される方へのメッセージ
躊躇したり、悩んだりしている方も多いと思いますが、一歩踏み出すことで世界は変わります。まず、一歩踏み出す勇気をもって行動してみたらいいのかなと思います。

Mさんを採用した企業の考える採用基準とは?

Mさんを採用した企業は、7年前から若者正社員チャレンジ事業に参加し、未経験者の採用に積極的に取り組んできました。現在では全従業員の6割が本事業からの採用者という実績を持ちます。


「やる気のある若者に、まずはチャンスを与えたい」と語る採用担当の吹田さん。なぜ未経験者の採用にこだわり続けるのか、その理念と7年間の成果について話を伺いました。


なぜこの事業に参加したのですか?
当初はリファラル(知人・社員の紹介)採用しかしていませんでしたが、7年前にこの若者正社員チャレンジ事業を知って参加するようになりました。「若者にチャンスを」というのが我が社の方針なので、やる気がある若者ならぜひ採用したいですね。
やる気があるのに、書類選考・面接が通らない、ずっと引きこもっていた、ニートだったという理由で就職するチャンスがないというのはちょっと悲しいですよね。少しだけ遠回りしている人でも、やる気があるならやればいいじゃん、と思っています。
実習では企業のどこを見ればいいですか?
本当に大事なのは、ちゃんと話を聞いてくれるかどうか、コミュニケーションをとってくれるかどうかです。
やりたい仕事ができる、残業が少ないということも大事ですが、ちゃんと話を聞いてくれる会社であれば、言えばいいんです、こういう仕事がしたい、こういう働き方がいいと。それが居心地の良さにつながります。
もうひとつは仕事のやりがいですね。この仕事をやることで自分の目標に近づける、という手応えのようなものをちゃんと感じられる仕事がそこにあるかどうか。居心地とやりがい、そのバランスを見てください。
本音のメッセージ
今の若者たちは、早くスキルを身につけたい、どこに行っても通用する能力をすぐにでも身につけたいと思っている。たしかにもう終身雇用の時代ではありませんから、5年後どうなっているか、ではなくてこの1〜2年が貴重、その気持ちはわかります。でも、だからこそちゃんと見極めないと、また挫折することになるかもしれません。それでは結局時間の無駄になるよと言いたいですね。若者正社員チャレンジ事業のような制度があるんだから、ぜひ利用したらいいと思います。
結局、自分の人生の当事者は自分なんです。引きこもっている人は、親や親戚から何を言われたって出てこない。でも、自分がある日、「ああ、一生このままじゃいやだな」と思ったら出てくるんです。最初の一歩を踏み出せるかどうかは、自分次第だと思います。

説明&相談会の予約はこちら > 説明&相談会の予約はこちら